2013年08月24日

『終戦のエンペラー』 天皇の戦争責任

天皇が開戦にどれほど責任があったかを10日間で調査し、
裁判にかけるか否かを決めること。。。

特にこの時期に観たい作品で、
今年はテレビでも戦争ものをあまり放送してなかったので、
まだ上映中でGO!
もう空いてるだろうと思いきや、狭いスクリーンがほぼ満席でビックリ。

日本人としてタブーの領域にどう踏み込んだのか…
天皇の戦争責任に興味深いのは私たち世代がギリギリなのか、
若い子が少ないことにそう感じました。














マッカーサー最高司令官を演じた、トミー・リー・ジョーンズ。
その風貌がそっくりなことも驚きでしたが、
日本人びいきと言うか、
日本人の心をくすぐる人情味あふれる人物像には好感触。
さすがの貫録はウェイトが上がったせい?(笑)


これは日本映画じゃないんでしょ?と思ってしまう、
こんなハリウッド映画でいいんだろか、
あちら的にはどう映るんだろうって、
日本人向けだからこその配慮を多々感じましたよ。










これが見事でしょう。
この写真がどうして撮られたのか、
この場に立つ前に何が語られたのか…

御身に触れることさえ許されない陛下に手を差し出したマッカーサーに、
一瞬驚くものの快く握手をする陛下。
何だか胸が熱くなるシーンでした。
ここまで辿り着くまでの周囲の人たちの心情や苦労を見たからこそのラスト。

昭和天皇を演じるのは、
歌舞伎俳優の片岡孝太郎さんと聞いてもピンと来なかったんですけど、
ラストで登場した時の、似すぎてることの驚きと同時に、
『白い巨塔』に出てたあの医師~(*゚0゚)ビックリ!
今頃気づいて、背格好、声や動きが適役にまた感心。


日本の天皇は英語では【Emperor】と訳され、
現在も続く王朝の中で、Emperorと表記されるのは、
世界でも日本の天皇だけだと知ると、
何だか重みを感じる言葉です。

原題は『EMPEROR』。













製作に大きく関わった…と言うより言い出しっぺの(笑)
プロデューサー・奈良橋陽子さんが見せたかったもの。

「曖昧さ(グレー)もまた、日本の素敵な文化」と。

白黒つけない日本人と、YES・NO当然のアメリカ人。
忠誠心や忠義、本音と建前を理解できないことには、
戦争責任を問うのは難しい。

「アメリカは、日本以外の国では韓国、ベトナム、アフガン、イラクと
 全て占領政策に失敗していて、成功したのは日本だけ。
 そのことを殆どのアメリカ人は知らない。だから、
 なぜ日本では成功したのかということをアメリカ人に知って欲しかった」と。

日本人もほとんど知らないんじゃないですかねぇ。
戦争ものに興味はあっても、ちゃんとした歴史(史実)を知ろうとせず、
映画やドラマで分かった気になってることの曖昧さヾ(゚∇゚*)オイオイ
後世に伝えることなんて出来ないですね。














前内閣総理大臣・近衛文磨役を、
中村雅俊さんが演じてましたが、ほとんど英会話シーン。
大変だな~と思いながら、
『ボクらの時代』で、奈良橋さんと桃井かおりさんの回を思い出してました。
奈良橋さんが、英語が苦手な桃井さんに発音から指導したエピソードなど、
楽しいやり取りで仲良しなのがよ~く分かりました。
今回の桃井さんは挨拶程度の英語だけでしたけど~。














ハリウッドデビューを果たした初音映莉子さん。
あちら好みのお顔なんですかねぇ。
インパクトが薄いのがちょうどいい適役?ヾ(゚∇゚*)コラ
2人の過去やエピソードが薄いせいかもしれない。

東条英機役の火野正平さんが楽しみだったんですけど、
セリフはあったっけ?ってほど重罪を掘り下げて見せなかった。
相当雰囲気は出てましたけどね。

木戸幸一(伊武雅刀さん)の名前を見て、
木戸孝允(桂小五郎)が過りましたけど、
やはり大叔父と言う血縁関係でしたわ。

そして奈良橋さんの祖父が、天皇側近の関屋貞三郎氏だと後で知り、
その役を夏八木勲さんが演じられ、
日本での公開を待たずに5月に亡くなられたことが残念でした。

しかし子供の頃から、
お爺ちゃんに生の戦争話を聞いてたと言う奈良橋さんが、
ボナー・フェラーズと言う人物に着眼し、
アメリカに企画を持ち込むと言う。。。

史実を基にフィクションを交えながらって…

マッカーサーの部下であるフェラーズ(マシュー・フォックス)が、
元恋人・島田あや(初音映莉子)が住む静岡に、
爆弾を落とさないよう指示していたと言う話は、ホント?
実際に静岡は空襲を免れてたんですかねぇ。

マッカーサーの温情を感じる見せ方に、
勉強不足の私には、逆に真実が見えなくなってしまったんですが、
そのせいで大統領選に落ちたって、ホント?

本当に映画で見たようないい上司で、
日本の再建を願って日本へ降り立ったんですかねぇ。。。

皇居前の第一生命ビルって、今はどうなってるのか気になるところ。
空襲後のガレキの街から、現在の日本を取り戻すまで、
気が遠くなるような復興を遂げたんですもんね。
スゴイ!

どうして東京大空襲を受けて降参できなかったのか。
広島原爆を回避できなかったのか。

上層部の決断を遅らせた日本人気質のような武士道とか、
天皇陛下が神であったために考えさせらえる戦争責任。
アメリカ人には理解できない部分を逆に、
日本人から見てなるほどな~でした。

日本人通訳のタカハシ(羽田昌義)が、
フェラーズの言葉をそのまま伝えないシーンが印象的で、
「すぐに会わせろ」と言う、同等もしくは上目線的な表現を、
「お会い出来て光栄です」と、時間のある時に面会を許して欲しいと伝え、
皇居前の強面の護衛が連絡を取ってくれると言う流れ。
そのまま通訳してたら完全に門前払いですって(笑)




戦争ものを何度見ても、正解はないんですよね。
取り戻すことはできないし、
スッキリするどころか悔やまれて仕方ない。
何度も見てどうしたいんだろう、自分。。。

こんな悲惨な戦争を繰り返してはいけないなんて、
そんな当たり前で簡単な答えじゃない何かが見つからない…
けど忘れたくないのは確か。


            2012/8/18 『終戦』 なぜ早く決められなかったのか →記事


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原題 EMPEROR
製作年度 2012年
製作国・地域 日本/アメリカ
上映時間 107分
原作 岡本嗣郎『陛下をお救いなさいまし 河井道とボナー・フェラーズ』(集英社刊)
脚本 デヴィッド・クラス 、ヴ...
終戦のエンペラー【to Heart】at 2013年08月24日 19:16



□作品オフィシャルサイト 「終戦のエンペラー」 □監督 ピーター・ウェーバー□脚本 ベラ・ブラシ□原作 岡本嗣郎□キャスト マシュー・フォックス、トミー・リー・ジョー...
『終戦のエンペラー』【京の昼寝〜♪】at 2013年08月25日 17:10
この記事へのコメント
こんにちは。ご無沙汰です。
これは凄い所を突いた記事ですね☆
恥ずかしながら、知りませんでした(^^ゞ
フェラーズどころか、映画自体も。
   
ここで一発、manaさんの好きなボケを
かましたくなるけど、自重しときましょう ♪
    
フェラーズについては、右寄りの産経HPが
昨日、別の側面を書いてました。
まあ、米国映画として、主人公のポジティブな
側面に光を当てるのはフツーですけどね。
静岡については静岡大空襲ってものがあるけど、
元恋人のいない辺りを狙ったのかな。
      
この話は日本だと、映画を作るどころか、
居酒屋でお喋りするのも気が引けるほど。
・・・と思う人はいまや少ないのかな?
狭いスクリーンがほぼ満席だけど
若い子が少ない・・・って、
娘さんは連れて行かなかったんだ。
じゃあ、僕を連れて行けば良かったのに(笑)
    
マジメな話、今まで色んな人と色んな話を
して来たけど、このタブーは話してませんね。
天皇制は話してるけど、戦争責任は話してないし、
学校でも一度も聞いた覚えが無い。
マニアック・ブロガーとしては早速調べたく
なったけど、現代史の記事は書きにくいなぁ。
映画のレビューならともかく。。
      
そう考えると、映画って媒体はいいですね。
圧倒的に馴染みやすいし、いざとなったら
「フィクション」って説明も使えるし。
ドラマよりは金と手間ヒマをかけれるし。
ま、資金の回収は大変だろうけど。
   
この映画がヒットしてるっていうのは嬉しいし、
manaさんがきっちりレビューしてる事にも
感心しました。実に素晴らしい☆
   
ってことで、今回は硬めにしときました。
お気に召したかな ♪ ではまた。。
Posted by テンメイ at 2013年08月25日 11:23
★テンメイさん

こんにちは~。
涼しくなって朝晩は過ごしやすくなりましたね。
乗鞍のお天気は持ちそうですかね。

ココへのコメントに、
昨年の『終戦』記事でも語り合ったことを思い出して、
リンク貼り付けちゃったわ~。
思い出させてくれてありがとう。
でね、改めて読み返したとんでもない犠牲者の数に、
また腹立たしくなってしまった。
毎年こうして思い出すしか出来ないけど。。。

テンメイさんのボケはね…
分がる奴だけ分がればいい。

って『あまちゃん』中毒でごめ~ん。
おらテンメイさんの言いたいこと分がってっから安心して、
書かねぇでけろ(ノ∇≦*)キャハハッ♪

フェラーズさぁ大っきぃ男だども物足りなかったべ(笑)
橋ゆぎおは、えがったなぁ…忠兵衛さんには内緒だぁ。(夏ばっぱ風に読んでね)

って『あまちゃん』中毒だからごめ~ん。
『SUMMER NUDE』もいいけど、
『あまちゃん』を書いて欲しかったじぇじぇじぇ~ヾ(゚∇゚*)オイ

>静岡については静岡大空襲ってものがあるけど
さすがテンメイさん。
皇居前の第一生命ビルは?(^∇^)テヘ

「天皇」って呼び捨てにしていいのか?
って思いながら記事を書いた私は昭和時代。
平成生まれの娘たちは全く興味なし。
「観たい」と言ってた母親を連れて行ったとさ♪
本当は娘たちに観て欲しい映画だと思うんですけどねぇ。
来年はテンメイさんを誘うよ(笑)

>そう考えると、映画って媒体はいいですね。
今回は、ハリウッド映画ってことで興味津々でした。
天皇責任を問う日本映画なんて有り得ないし。
日本人は天皇の責任だって思ってる?考えないようにしてる?
今更、曖昧でもドンマイ。
映画でも答えなんてありませんでした。
人間対人間を描いて見せてたのは良かったです。
かなり日本贔屓だなぁとは思いながらも、
奈良橋さんの尽力のお陰で良い作品に出会えました。

去年も戦争記事でテンメイさんから褒めて貰ったんだけど…

今年も硬さに拘ってるってどうよ~(≧∇≦)ノ彡バンバン!
召した召しためでたしでした♪

あれから私は1年追っかけて来た…
つ・も・り♡(笑)

乗鞍までの体調管理と、
ブログ開設8周年に向けガンバ!
Posted by manamana at 2013年08月27日 11:11
こんばんは!

これ、見たかったんですよ!!
見に行かれてんですね。
ハリウッドのアメリカ的解釈による
戦争ものかなという印象だったんですが、
言い出しっぺが日本人なんですね。

米軍の占領が成功したのは日本だけって、
ちょっと新たな視点ですね。
なるほど。
憲法改正や米軍基地の所在、
自衛隊の位置づけから中国、北朝鮮の
脅威と、結構、問題山積してる今だからこそ子供たちにも見てもらいたいですね。
Posted by ジュード郎 at 2013年08月27日 21:27
★ジュード郎さん

こんにちは~。

日本の戦争ものなら尚更、天皇陛下万歳。
「堪えがたきを堪え、忍びがたきを忍び…」
ラジオから流れる神の声に、ひれ伏し聞く国民の姿しか記憶にないですね。

日本人ではないアジア人を使った、
へんてこりんな日本文化を見せられなかったのも違和感なく、
これがハリウッド映画だとは思えなかったです。

戦争自体がタブーのように、
私たちはそういう教育も受けずに大人になってしまって、
本当の歴史って何なのか知りたいです。
お店の年配客に戦争の話を聞くのが唯一で、
また皆さん遠い記憶を鮮明に憶えてらっしゃるんですよね。
数少ない生き証人の貴重な体験談は、小学校1年や2年の記憶。
今の小学生にその光景や体験が耐えられるか…
身内の戦死、近所のお寺に毎日死体の山があったとか、
夜中でも防空壕に入れられて、怖いより眠くてたまらなかったとか。

『はだしのゲン』閲覧制限問題も、なぜ今?ですよね。
子供たちに見てもらいたいものを選ぶのも大人なんですよねぇ。。。
Posted by manamana at 2013年08月29日 13:40
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